#259 トランプとゼレンスキー公開決裂? 国際社会を欺く芝居では? 海老原嗣生×深田萌絵

(深田)

皆さんこんにちは。政経プラットフォーム、ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回は雇用ジャーナリストの海老原嗣生(つぐお)先生にお越しいただき、新著「静かなる退職という働き方」のお話を伺おうと思います。

(海老原)

その予定でしたけど、ゼレンスキー問題を話したくなっちゃって。

(深田)

え?ゼレンスキー問題ですか……トランプ大統領との口論は何だったのでしょうね。

(海老原)

どっちが悪いとかでなく、そもそもゼレンスキーは何故あそこで喧嘩に乗っちゃうのか、それが僕の一番の不満なんです。

(深田)

大人としての礼節を疑う展開でしたね。

(海老原)

アメリカ側は(ある意味)反社みたいな手口でわざと挑発してるのに、ゼレンスキー側がそれに乗ったらダメでしょう。JDバンス副大統領から「あなたは失礼だ、謝りなさい」と言われても素直に謝っていればそれで済んだのに、ゼレンスキーは返事の最初から、トランプも含め歴代大統領の名前を4人もあげ「(ウクライナ勝利の為に)何もできなかった」なんてどうして言っちゃうのか。

(深田)

ちょっと失礼ですよね。

(海老原)

あと10分我慢すれば協議の次の段階に移れたはずでしょう、子供だってそれくらい我慢できるのに、どうもおかしいなと思うのよ。

(深田)

何がおかしいですか、一番。

(海老原)

元々あの会談は天然資源をアメリカと共同開発する話だったけど、マスコミ報道はリチウム・チタン・マンガンなど、いわゆるレアアース(希土類鉱物)の話ばかりで、もっと膨大な天然資源、天然ガスの事にはまるで触れないのがまずおかしい。ロシア傘下の頃は年間約700億㎥も採れた大産出国だったし、石炭は欧州2位、鉄鉱石も世界10位、ウランも世界10位かな、ウクライナにはいわゆる旧来資源がものすごくあるんですよ。

(深田)

知りませんでした。

(海老原)

その膨大な資源が、旧ソビエト連邦と別れた後はうまく開発が進まず「寝た子」になっていたわけで、これが欲しくてロシアは攻めたとも言われてます。さらに驚くのは、ドンバス地方・サボリージャ・クリミアのいわゆる4州に、エネルギーや地下資源の8割ぐらいが埋蔵されてるんです。

(深田)

つまり、もうロシアが押さえている地域。

(海老原)

そう考えると、米と共同開発すればロシアに全部取られたものが少なくとも(一部)返ってくる可能性がある、だったら当然そうすると思うんです。

(深田)

たしかウクライナは、ロシア側とも天然資源を共同開発する話をしていましたよね。

(海老原)

そこも(ウクライナ側が)うまいなと思った点。ロシア側はディール(取引)でお前に4割、いや半分上げるよとか多分言ったでしょう。でもロシアとしては今回の侵攻ですごい犠牲を払い、しかも昔から欲しかった地域をようやく取ったんだから、半分以上は譲れないと思う。

でもアメリカとの交渉なら「まだロシアに取られてない地域はウクライナに8割くれ、ロシアに取られた分はアメリカに8割でも9割でもあげるよ、どうせ取られた地域だから」というトータル五分五分のディールでいいわけ。そういう下交渉があったならトランプにもオイシイ話でしょう。

(深田)

そもそも、ディールに合意している前提であの会談がセッティングされたわけですよね。

(海老原)

1回目の会談(2024年9月)があまりにも成果がなく、その後ウクライナ特使が説得に来ても(トランプ氏は)何もなかったように振舞ってた。けど急に、案外いい奴じゃないかと話が変わってうまくいくようになったじゃないですか。

今リークされている噂では、(今回の)合意文書がウクライナにとって結構いい内容に見えたけど(会談のため)飛行機に乗ってからよく見たら結構ウクライナにひどい内容だった(だから口論になった?)と言われてますけど、僕はこれどうしても信用できなくて。

(深田)

そうなのかな、どうなんでしょうね。

(海老原)

(米露の)ディールになったらロシアは半分までしか譲れないだろうけど、ウクライナが8割上げますと言えば、もうトランプはウクライナを選ぶだろうと。

それに(トランプはウクライナに)もう戦費を送らないと言ってるけど(前政権の契約で)送ってる分でまだ(戦闘は)持つし、(今後本当に戦費を)送らないでロシアが強くなったら、ロシアはどんどん交渉条件を引き上げてしまうから、あまりロシアに勝たせないためにも(結局)トランプはお金も軍備も送ると思うんですよ。ウクライナが負けたら、ロシアはもう全取りしますから。

(深田)

トランプ大統領は「ウクライナには1円も送らない」という公約で今回の選挙に当選しているので、支援金を出したら今度は有権者が怒りませんか。

(海老原)

それはケント・ギルバートさんの見解でしょ。ここもよく聞いてほしいけど、ウクライナの外務省がなかなかすごくて「大統領になったら資源を一緒に開発しましょう」と先手でトランプに入れ知恵してたの。片方ではゼレンスキーがバイデンと一緒にペンシルバニアまで行って演説しながら、片方では外交筋からトランプに、鉱物資源あげるよと前もって話していたわけ。だからトランプが後になって「1円もあげない」だなんて、これもおかしい。三味線(口だけのポーズ)だと僕は思ってるんです。

(深田)

うーん、三味線ですか?

(海老原)

だってあと10分我慢すれば話が進むのに、なんで我慢しなかった? 怪しくない?

(深田)

それはゼレンスキー側が怪しいですよね。

(海老原)

いや、もしかしたら出来レースの芝居じゃないかな。(ゼレンスキーが素直に資源を)あげますと言えないのはウクライナの国民感情が怖いからですよ。だってせっかく戦争して国土守ってきたのに、結局アメリカが、トランプが全部取ったらゼレンスキーは非難の的になる。だから国民をなだめるため「俺こんなに頑張って言い合ったよ、でもこのままじゃウクライナは戦費も尽きてロシアに負けちゃう、やっぱり謝るよトランプに」という筋書きじゃないのかと僕は思うけど。

(深田)

その筋書きで、ゼレンスキー大統領には何か得がありますか。

(海老原)

ゼレンスキーにすれば、戦争を終わらせて、しかも4州にアメリカ資本が入ってガンガン開発するようになればありがたい。

一方アメリカ側も中国に、レアアース系鉱山の世界的シェアを押さえようと各国で大量に資本投下している中国に(ウクライナ利権まで)取られたらヤバいから絶対欲しい。その時(地下資源が)ロシア傘下よりもウクライナ傘下の方が(開発条件が)ゆるいと分かってるから、ウクライナに戻してアメリカは開発したいでしょう。

多分ゼレンスキーも(領土が一部)返ってくる可能性はある、戦争は終わる、お金も返さなくていい、三重四重に得するから(米の思惑を)薄々はOKしてて、あとはウクライナ国民を納得させるための「フック」が必要だった、それが今回のバトルじゃないのかなと。

(深田)

ああ、そういう事ですか。でも、ゼレンスキー大統領は支持率が低迷していて(憲法上は一年前にもう任期が切れているのに、戦時下だからと)選挙も開かせない、だからトランプ大統領から独裁者と呼ばれていたわけじゃないですか。

(海老原)

それね、ロシア側の話が多いんですよ。半分正しいのは、戦争が始まる前はすごく支持率が起ちて30%前半だったこと。それは彼の隠し金とか別荘とかヨットとかがバレて猛烈に叩かれていたから。その時ゼレンスキーは、いわゆるドンバス地方をかなり攻めたんです。

それはドンバス地方を締め上げてロシアから攻め込ませるシナリオ、つまり「戦争を誘導しなければ自分が危なかったから」だったという説が、真偽不明だけどかなり言われてます。

とにかく30%の時に比べたら今の52%はまだ高い。とすると、40分過ぎまで何事もなく最後10分であんなドンデン返しは、やはり芝居じゃないかと疑うんです。

(深田)

私もあの態度は何だろうと思っていました。会談に臨むならシャンシャン仲良くやって握手してサインして、万事めでたしで終わるのが普通じゃないですか。

(海老原)

怒るのだって(非公開の)会議でやればいいのに、あそこでわざと見せたのは、いわゆるEUや国民に見せてるだけじゃないかと思う。

(深田)

私も、あれはヨーロッパ向けのトーク・ポーズじゃないかなと思うんです。

(海老原)

今回ヨーロッパは全面支援すると言い出し、ウクライナ国民も彼が正しいと言い出した。こう(旨い展開に)なれば、最後はもう謝るしかない状況にして謝るんだと思いますよ。

(深田)

確かトランプ大統領がプーチン大統領と電話会談した後だったかな、フランスのマクロン大統領が「トランプ緊急事態宣言(笑)」をして緊急会議を開きましたよね。やはりあの時、ゼレンスキーに何か入れ知恵するような対策を考えたんじゃないのかなと思いますよ。

(海老原)

ちょっと待って、欧州は絡んでるかな……僕はトランプとゼレンスキーが考えたんじゃないかなと思う。

(深田)

トランプも一緒に(出来レースを)考えていたと?

(海老原)

欧州は外していいんじゃないかな。だって欧州は元々、天然ガスはほとんどロシアから送られていて、そのパイプラインがウクライナを通ってる。でもロシアに依存するのは半分恐いと思ってたから、この際手は切りたい。その時ウクライナの天然ガスが開発されていれば、同じパイプラインからそのまま送ってもらえるから、欧州だってウクライナの天然ガスはかなり欲しい資源のひとつなわけ。

でもウクライナ側は、それが高く売れるのは米・欧どっちか考えて、ヨーロッパには手の内見せず、トランプと組んで「高値の買い手」に見せたんじゃないかな。

(深田)

ロシアのウクライナ侵攻の前、ノルドストリーム2と呼ばれるロシア・ドイツ間の天然ガスパイプラインが、開通する直前に凍結されましたよね。

(海老原)

ドイツが怒ってね。

(深田)

いや、アメリカが圧力かけたため、ドイツは投資して作ったのに開通させられなかったんです。アメリカはこれ以上ヨーロッパにロシア依存させたくなかったから、ノルドストリ-ム2の開通が一番嫌だったわけです。

(海老原)

ウクライナから送るようになれば依存は取れますね。あと「エネルギー価格の決定権」。石油もサウジアラビアとか大供給源がずっと決定権を持ってきたじゃないですか。天然ガスも同じようにアメリカがウクライナの採掘権を取れば、市場や価格をかなり握れると思うんですよ。

(深田)

アメリカがウクライナの天然ガスを押さえればヨーロッパのエネルギー権も握れるから、実はものすごく都合がいいですね。元々あの東部ガス油田の開発は、バイデンもやろうとしていたんですよね。

(海老原)

バイデンの場合は息子のハンターがブリスマ社の役員やっていて、トランプがその汚職資料を出せって追求した因縁もあったから、トランプとゼレンスキーは仲悪かった。

(深田)

プーチン大統領はあの東部ウクライナのガス油田利権を、バイデンとゼレンスキーで握っていた事を知っているんです。だからトランプは第一次政権の末期、プーチンに「あの資料」を出してくれみたいなツイートをしていたんですよ。

(海老原)

たしかトランプはゼレンスキーにも、ハンターを捜査して捕まえてくれ、奴の悪事をちゃんとデータでくれたら軍事供与してあげるよと、半年くらいお預けにしてたよね。

(深田)

確かにそういう事もありましたね。でも実はゼレンスキー、それ出来ないんです。なぜかと言うとブリスマの大株主がコロモイスキーというオリガルヒ(ロシアの超富裕層)かも知れないからです。そのコロモイスキーが演出していたテレビドラマ「国民の僕(しもべ)」に出演して人気者になったゼレンスキーは、出世をバックアップしてくれた恩人がブリスマの大株主でもあったから、タッチ出来なかったのではないかと言われています。

(海老原)

いわばパトロンだからって事ね。その辺も今回のバトルでようやく面白くなってきたな。

(深田)

これ面白いですよ、はい(笑)。

(海老原)

そうすると今、ヨーロッパはまだ本当にトランプとゼレンスキーが決裂したと思ってる、ゼレンスキーはどこかでトランプと手打ちして、ちゃんとウクライナ利権をあげようと思ってる、僕はこういう状況だと思うんです。

(深田)

トランプも会談決裂の後に「また気が変わったら戻ってこい」みたいに言って捨て台詞は吐いていませんね。

(海老原)

ところがゼレンスキーはその後出たFOXテレビでも、まだ喧嘩腰で「謝る気はない」って言ってたじゃない。(随伴した)ウクライナ政府の人達が米側に平謝りし、もう少し会議を続けましょうと頼んでも断られた、その後のテレビでですよ。普通だったらあんな事言うわけないでしょ。

(深田)

おかしいですね。

(海老原)

それはトランプが「もう少しヨーロッパを焦らせよう、まだまだ謝っちゃダメだよ」ってゼレンスキーに言ってるんじゃないかと思うわけ。

(深田)

なるほど、そういう読みもあるという事ですね。

(海老原)

この後が面白い。ヨーロッパはウクライナと仲良くなって一緒に生きようって、アメリカと離れ出した、中国とさらに接近する可能性だってある。でもトランプはまだ、4月2日の「関税発動」という大きなカードを持っている。もし中国なんかと接近したら関税アップするよと脅しが効く時期だから、ヨーロッパは本気で中国の方には動かないだろうと踏んで、その間にゼレンスキーと仲良くなるんじゃないかな、シナリオ通りに。

(深田)

そもそも、ウクライナ側に切れるカードは本当に無いですよね。

(海老原)

でも天然ガス資源はすごいですよ。レアアースだけだと、一番大きいリチウム鉱床の可採埋蔵量を全部売っても2600億円程度で(累積)戦費の200分の1にしかならないけど。

(深田)

私もそれ思ってました、なんで天然ガスの話をしないのだろうって。

(海老原)

そう、天然ガス・石炭がすごいし、鉄鉱石もウランも、石油もちょっとすごい。日本の石油産出量に比べたら遥かに取れますけど。

(深田)

天然ガスの話を表立ってすると、ヨーロッパが嫌がるのでしょうね。

(海老原)

ヨーロッパだってガス利権が欲しくてたまらない、その為にウクライナを守ってるとも言えるわけだから。

(深田)

ポーランドなど確実にそうですね。

(海老原)

ウクライナと国境を接する人たちはみんなそう思ってるだろうね、きっと。

(深田)

はい、ポーランドとウクライナの国境辺りもガスが出ると言われていますから。

(海老原)

今回のバトルで思ったけど、テレビのニュース解説って政治学者の政治論ばかりで、天然ガスや資源の話を詳細にしてる人がほとんどいないよね。どうして利権の話をちゃんとしないのかと思ってるわけ。

(深田)

逆に利権で見ないと分からない部分もありますよね。その視点はなかったなと思いました。

(海老原)

でも面白くなってきたよね、この後はヨーロッパが大恥かかされる気がするなあ。

(深田)

と、雇用ジャーナリストが政治を語る(笑)。ではUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)の解体と人員整理はどうですか。

(海老原)

これこそ自分は専門家だから言うけど「解体されてクビになった職員を中国やロシアがどんどん採用してる」という話はおかしいと思ってます。どういう事か話すと、彼らは自分の履歴書をリンクトインやモンスターなどのビジネス専用SNSに昔から登録してるんです。そこで「私退職したからいつでも声かけて」とボタン一つ押せば、同じスペックで登録してる海外の公務員系の話がドカッと来るわけで、それを皆に「俺こんなの来たよ」って見せる人が大勢いたから、中国やロシアが声かけてるって騒いでるだけだと思いますよ。

(深田)

なるほどね、確かにリンクトインだとそういう機能がありますね。

(海老原)

そんな機能はビジネス用SNSならどれでも付いてる、それだけの話だと思いますよ。

(深田)

まあUSAIDの職員が減ったところで大したインパクトは……

(海老原)

でもエネルギーや諜報関連も減ってるから、そういう人材は中国やロシアがほんとに欲しいんじゃないんですか。

(深田)

そうか、諜報機関は中露からの需要あるでしょうね。そもそもUSAIDは、ダブルスパイ雇って給料払っていたんじゃないの、みたいに私は疑っています(笑)。

(海老原)

あなたも昔やってたんですか、ダブルスパイ(笑)。

(深田)

いやいや、やられていた側です(笑)。という事で今回は雇用ジャーナリストの海老原先生に、アメリカとウクライナの行く末についてのお話をいただきました。次回こそは、雇用のお話をお願いします(笑)。

(海老原)

すいません、専門外の話をしてしまって。失礼をいたしました!

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