「バター不足の犯人も政府です!」鈴木宣弘× 深田萌絵 No.118

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【目次】

(深田)

自由な言論から学び行動する人を生み出す政経プラットフォーム、ITビジネスアナリストの深田萌絵がお送りします。今回は東京大学特任教授の鈴木宣弘先生にお越しいただきました。先生よろしくお願いしいます。

先生、今回はですね、酪農家の危機ですね。バター不足とかいろんなことが言われているのですけれども、こちらの要因について教えていただけますでしょうか?

(鈴木)

はい、米不足も騒がれていますけど、バター不足も似たような構造があるので、ここは本当にセットで考えないといけないと思うのですね。

(深田)

牛乳は余っているのですか。足りないのですか?

(鈴木)

牛乳も余っていると言われて、それでどんどん絞るな、牛を殺せという政策をやってきたわけです。まさに米に対する生産調整、減反と同じような、作るな、田んぼを潰せと。こちらは絞るな。牛殺せ。これを今一生懸命やったわけですよ。やった結果何が起きたかというと、急に足りなくなって、バターを緊急輸入する事態になった。でも絶対にそれは認めない。余っているのだと言い続けたから。

(深田)

そうですよね。

(鈴木)

余っているのだと言って、原因は猛暑で去年生産が減ったからとか、そういう風な表面的な要因だけで済まして、政策がどういう風に動いていたかについては言わないというか、認めないわけですよね。

(深田)

絶対に語らないですよね。ここ何年も牛乳が余っているから、皆さん北海道の牛乳を飲んでくださいと言って、北海道出身の議員が牛乳を一気飲みする姿を見せていましたよ。余っていると思っていましたもの。

(鈴木)

そうなのですよ、特に余っているというのは、脱脂粉乳の在庫が増えている。バターはそれなりに需要が多いのだけども、今脱脂粉乳の需要が少ないようで、バターと脱脂粉乳は同じ牛乳からセットでできちゃうものだから、そうすると特に脱脂粉乳の在庫が増えているので、そのことを余っている、余っているという、そこの部分がそう言われていて、それをどのように調整するのかということで打ち出されたのが、とにかく生産を減らさないと牛乳はもう受け取ってあげないよと。

(深田)

牛乳って、そもそも政府がその生産量を決めているのですか。買い上げ量を決めているのですか?

(鈴木)

そういうことはやっていないのだけども、その需要と供給の関係で、全国的な数字を乳業メーカーとか、生産者団体で作っているところが出すと、どのぐらい余るかなみたいな数字が、政府自体じゃないけど、そういうところから出てくる。それに合わせて北海道でこれだけ余りそうだから、特に北海道が乳製品の牛乳が多いので北海道がこれだけ生産を減らさないといけないねと分かる。そこで生産者団体が動いて、これだけしか受け取りませんみたいな話を、生産者組織が決めるわけです。

(深田)

その生産者組織というのは、政府系では全くないということですか?

(鈴木)

政府が指定している指定団体ですね。

(深田)

政府の指定団体なので、やっぱり政府の意向が反映されたりするわけですよね。

(鈴木)

そういうことになってくると、もう絞っても受け取ってもらえなくなるから、生産量を事前に減らせればいいけども、減らせなかった場合、北海道で去年起きたのは牛乳を捨てるという事態まで発展したわけですよ。

そうなってきて、一方で同じような話は、米とかもそうだけども、コストがものすごく上がっているわけですよね。

(深田)

そうです。最近、酪農家さんの飼料ってほぼ輸入なのですよね100%ですか?

(鈴木)

8割9割。

(深田)

8割9割、輸入なのですよね。あれがものすごく高騰していて大変だってね。

(鈴木)

あれがね長引いていまして、一昨年に比べたらね、輸入のトウモロコシとかが2倍近くになっちゃって

(深田)

2倍ですか。

(鈴木)

それで円安も今続いているから高止まりでね、もう苦しい状態が続いている。一方で脱脂粉乳が余っているから、在庫が多いからということで、やはり米価と同じように乳価は簡単に上げられない。だけど絞るな、牛は殺しましょう、牛乳は捨てましょうみたいな話を進めて、なんとですね、牛一頭フォルスタインを殺したら、そこには金を出すと、15万円払うから全国で4万頭殺せとやっちゃったわけですよ。

(深田)

去年4万頭ですか?

(鈴木)

2年ぐらいかけてですけどね。

(深田)

2年かけて。じゃあ猛暑関係ないですよね。猛暑で牛がちょっと体調が悪いとか死んじゃったじゃなくて、政府主動で2年かけて4万頭も乳牛を処分したら、そりゃバターも足りなくなりますよね。

(鈴木)

だからこんな需給が逼迫しそうな状況が高まっている時に、牛を殺せばいいじゃないか余っているのだから、田んぼ潰せと同じ短絡的な発想で、そういう風な政策をやったら、あっという間にまた足りないとなるのが分かっていますよね。田んぼよりも大変なのは、牛はいなくなったら、もう1回絞れと言われたって、すぐには絞れない。子牛を育てて牛乳絞れるようになるまで3年以上かかるのだから絶対に間に合うわけがない。それなのに、とにかく余っているのだから牛を殺せって、こういう発想でやってしまう。稲作とか作物もそうだが、動物相手の畜産についてね、そのような政策をやれば、絶対にちぐはぐになるに決まっているじゃないですか。

(深田)

そうですよね。

(鈴木)

間に合わない、急には減らせないし急に増やせない。牛は水道の蛇口じゃないのだから。こういうことをやってしまって、ここもまたびっくりなのだけども、足りないのが分かってきたわけですよ。これはいかんと。バター足りないと。だからもう増産してくれって政策切り替えるのかと思ったら、メンツの問題があると。減らせと言っちゃったのに、急に方針変えて増やせなんて沽券に関わる。だから減らし続けると。まだその政策を続けた。

(深田)

それって、外資のバター屋さんを儲けさせてあげるためじゃないのですか。

(鈴木)

まさにアメリカとこから輸入もしなきゃいけないから、それでバター緊急輸入してね、今こそ国内生産増やして輸入に置き換えなきゃと言っているのに、その逆に国内生産を苦しめて生産減らして、輸入を増やしている。米もカリフォいるニア米が入ってきたり今やっていますけども、そのような同じことをやって、さらにびっくりするのがですね、バターは足りてないが脱脂粉乳の在庫が多いので、それをみんなで処理しなきゃいけないと。これもね、米の備蓄も脱脂粉乳もね、

(深田)

備蓄できますよね。

(鈴木)

備蓄できますよ。はい他の国はやっていますよ。備蓄して政府が持っといて、足りなくなればそれ放出すりゃいいだけじゃないですか。こんなに右往左往しなくて済むのに、それはやらない。でも脱脂粉乳の在庫が多いからどうするかと、酪農家にその負担しろと言ってきたのです。

(深田)

ええー、ひどい。

(鈴木)

なんと北海道の酪農家が、輸入の餌でどんどんと規模を拡大した何千頭規模の経営が、もう平均でも2000万円の赤字に陥っているのですよ。

(深田)

平均で2000万円の赤字ですか。それは大変。

(鈴木)

その人たちに対して、北海道だけでね、350億円の脱脂粉乳の在庫処理のための負担金を供出させたのです。

(深田)

ひどい、鬼ですね。

(鈴木)

本当こういうことをやって、さらに追い打ちをかけるようなことで、生産者に負担をさせて、本来は国が負担すべきだし、もっと乳牛メーカーも負担すべきところもあるのだろうけども、酪農家の負担が非常に重くてね、それでどんどんやめる方が増えている。

そもそも2014年の、バターが足りないあの時もあったじゃないですか

(深田)

ありましたね。

(鈴木)

大騒ぎ。あの時に酪農家さんにどんどん増産してもらおうと、借金してでも増産してくれという事業をやったわけですよ。半分借金で施設入れてどんどん増やして、やっと増産が軌道に乗ってきたら、コロナショックで需要が減退した。

(深田)

そうですね確かに。

(鈴木)

確かに大きかったのでね。

政府は何言ったかと言うと、せっかく増産してもらったけど、もう余ってきたから君らもういいから絞るなと、牛殺せと、牛乳を捨てましょうって話になっちゃったわけですよ。だからまさに二階に上げといて、梯子外すようなことになっちゃったから、酪農家さんは借金だけが残っちゃって、やめても返せないってことでね、私が聞いているだけでも網走とか千葉とか熊本で、何人もの酪農家さんが自ら命を立たれているという情報を聞いている。

(深田)

本当に可哀想。

(鈴木)

そういう状態になっていても、そういう風なしっかりとした赤字の補填もしなければ、もう絞るな、牛殺せということで、政府は責任を持って備蓄を増やして、それでね、みんなを助けることもしないという、まさに米と同じような構図がここにもあるわけですよね。

(深田)

いや本当に政府の言うことを信じて、その言う通りにした人たちはみんな不幸になっていますよ。

電力もそうなのですよ。その新電力会社を皆さん作ってくださいっていうことで、経産省が電力会社を、新しい電力会社をたくさん作りなさいで、いろんな人が起業したのですけれども、ロシアのウクライナ侵攻で燃料価格が高騰したり、電力価格も一緒に高騰しちゃった時に、その時に、そのペナルティを、小さな新電力会社が払わなきゃいけないということがあって、それでどんどん倒産したことがあったのですよね。

(鈴木)

そうなのですか。

(深田)

全く同じですね。

(鈴木)

政府がそういう責任を全く取らない。だから本当にこういう状況が続いたら、本当に酪農家さんだけの問題じゃないですよ。この調子で酪農家さんの倒産が続けば、まずお子さんに牛乳が飲ませられなくなるとか、そういう状況がもう見えてきてしまう。

米もそうだけど乳製品、牛乳だって本当に子供の命に関わる大事な栄養素ですから、そういうものがもう手に入らなくなるような事態、バターだったらまだ輸入できるけど、飲む牛乳は基本的に国産で、近いところでできてなければ供給できない。酪農時代がどんどん減ってしまえば、お子さのたちの命を守ることができなくなる。

こういうことについて本当に国民全体で、自分のこととして農業がこれだけ追い込まれていることが、まさに自分たちの命、子供たちの命を危険に晒しかねないことをみんなが今考える。政府に対して、我々きちんとした政策を要求していくのはもちろんだけど、みんなが1人1人でね、やはり今苦しい中でも頑張っている酪農家さんや農家の皆さんをどうやって、国内で、地元で頑張っている人を、少しでも支えられるような行動を是非取る。もちろん買ってもらうのももちろんだし、自分で一緒に手伝いに行くとかね、自分も教えてもらって、その農業を一緒にやるような形で、一緒に作って一緒に食べる、そのようなネットワーク作りとかね、そういうものも是非広げていく。国全体の方向が、非常に問題があっても、まず自分たちの力で、自分たちの暮らしを守るために、地域地域で生産者と消費者がどう結びついてね。

(深田)

そうですよね。地産地消で、やはり現地の生産者と現地の消費者がもっと密接につながっていくことによって、政府がどれだけひどいことやっているのかとか、そういったことも見えてきますし。

(鈴木)

そうですね。だから酪農などはなかなかね、地産地消って難しいかなと、広域流通が多いからと言われていたけども、今いろんな取り組みで、地ミルクとか言って、地域の酪農さんが作ってくれた牛乳を、その地域で、みんなで支えて飲もうねみたいな、そんな仕組みもできてきたり、チーズ工房とかもね結構あるじゃないですか。

(深田)

ありますね、木次とかね。

(鈴木)

そういうこともね、酪農家さんも工夫して、自分たちで加工して、地元で地域循環的に売れるような乳製品も色々開発しているしね。そういう風な取り組みをね、みんなで地域で支えることによって、国の方向性はそういうところから、まず地域で頑張っていいものね、いい仕組み作って、それを全国に広げて、それから国もちゃんと動いてよねという、そういう流れを是非作っていければなと思いますね。

(深田)

はい、私にできることはもうね、国の政策がおかしいということを、できるだけ多くの方に、知っていただくということで、この番組も運営させていただいているのですけど。

(鈴木)

それをまずね、バシバシやっていただいてね、さらに広げていってください。

(深田)

はい、かしこまりました。はい頑張っていきたいと思います。いつかはね、自分でもちょっと畑つきの家でも買いたいなと思ってですね、ちょっと最近こう物件を探し始めたところなのですけれども。

(鈴木)

はい、それも素晴らしいですね、はい期待しております。

(深田)

ありがとうございます。いつ実現できるかは分かりませんが、夢は大きく皆さん、しっかりと、どれだけ政府が悪どいのか、政府の言うことを聞いていたら、私たちの生活が危なくなるということで、政府発表には、常に逆のシナリオを考えて生きていただきたいと思います。ということで、今回は東京大学特任教授鈴木宣弘先生に、酪農家の危機についてお話しいただきました。先生ありがとうございました

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