#65― 深田萌絵×藤川晋之助 石丸旋風仕掛け人が語る「石丸新党で自民は崩壊する⁉️」中編

(深田)

メディアからすれば「泡沫候補だ」と思っているかもしれないのですけれど、応援している人たちからすると「自分たちが応援している候補者のことが一言も触れられないのはおかしい」と。

(藤川)

この選挙は二局対立、要するに女性2人の対決になるから、石丸は泡沫扱いになるだろう。

だから、我々の目標は「そうじゃないぞ。こいつは台風の目だぞ」という風に持っていかなくてはダメだったのだけれど、某新聞社以外は全く興味を持たなかった。

前半戦は、まだほとんどの報道の人たちも、石丸がそんなに伸びるとは思っていなかった。

(深田)

私も、取っても20万ぐらいかなと思っていました。

(藤川)

そうでしょ。それが多くの思いだったのです。

ところが、すでに我々は半分の時点で、「100は行ったな」と思っていた。そこで盛んに、「100は行っているぞ」と言っていたら、「え、本当ですか?」となった。

とにかく注目をさせる戦略を取った。

だから前半では、私もマスコミのことをよく知っているので、どんどんそれをアナウンスしてこちらに振り向かせる。折り返しの時点で、みんなに「必ず蓮舫を抜くから」と言った。ちょっと自信はなかったのですけれど。

それだけで、みんなが「えっ、蓮舫を抜けるのですか?そしたら事件じゃないですか!」、「そうだよ。大事件が起きるから注目してください」と言ったら、後半からはみんな寄ってきて、マスコミだらけになってきたのです。

(深田)

蓮舫を抜いてくれるだけで。

(藤井)

そうでしょ。一方でそれを喜ぶ人たちもいるわけです。

(深田)

「小池百合子さんと蓮舫さんか、ちょっともうお腹いっぱいです」という気持ちになってはいたのですよね。

(藤川)

僕は、いつもマイクを持った時には、「小池さんと蓮舫さんの背中の向こうに未来は見えますか?見えるのは石丸しかいない」という言い方をしていたら、すごい拍手が起こるのですよ。「え、こんなに受けていいのかな」というくらい。

だから、演説が下手でもすごく受ける母体があるというのかな。あれはすごいなと思った。

(深田)

都知事選の少し前に、知り合いの議員や元議員のところにいろんな選挙プランナーが来て、「都知事選に出て名前を売って、新党を作ればいいじゃないですか」とそそのかしている人たちがいたのですよ。

今、そういう石丸新党のようなことをお考えにはなっているのですか。

(藤川)

妄想は膨らみますよ。元々、僕らは政治を良くしたいと思って選挙プランナーのような立場にいるわけだから。

とりあえず新しい世代を育てたい。そして夢は、政治における大谷や藤井を見つけること。そういう者がいないと、やはり興味を持たない。

彼には大谷になれる資質はある。大谷さんは周りの人にも優しいですし、ちょっと態度は違うけれども、「彼はその資質を持っているな」と思ったから、「損得抜きで1回グッとやってみよう」ということで、テコ入れをしたのです。

結果、彼は愕然とする。僕らは、「ここまでやったから」という達成感があったのですが、彼にとってみたら愕然とする結果で、「しばらくの間、考えさせてください」と言って、それでも挨拶回りもしなくてはダメだし、お世話になった人にお礼も言わなくてはダメだから、色々と時間を設定して動いているわけです。

では、彼自身が何をするのかと言うと、たまたま冗談で「広島で出るかもしれない」みたいなことを言ったけれど、そんなことは全く考えてないです。

(深田)

考えてないのですか。

(藤川)

都知事になろうと選挙に出たわけです。一国会議員になったら何百分の1ですから、10年、20年かけて初めて力がつく。

「そんな時間は、もう日本には残されてない。この危機の日本をなんとかするためには、都知事になるのが1番早いし、東京都を変えれば日本全体が変わっていくのだ」と言って都知事を目指したわけだから、その目標は変わらない。

最後に、開票に立ち会うために、ボランティアの代表300人を集めたのです。そんなこと普通はやらないのですが。

なぜかと言えば、ボランティアさんへの感謝を彼から言ってもらうためです。

彼はナポレオン・ボナパルトが大好きで、確か37歳で皇帝になるのです。

「皆さん、私は41歳で、都知事になるなんてもう遅すぎるぐらいですよ」と彼は平気で言うわけです。「ナポレオンと比較するなよ」と思うのですけれども、その中で「ナポレオンの辞書には『不可能』という言葉はない。私の辞書には『諦める』という言葉はない」と最後に言ったのです。「うわっ」と受けたのですね。

つまり、もう1回そちらへ向かっていくということです。

ここからは妄想です。都議選が来年あります。彼がもし本気になって、例えば石丸新党でも作って、彼の強かった地域に候補者を立てていけば、結構面白い選挙になりますよ。

(深田)

今、そんな話をしたら、萩生田さんは真っ青になっていますよ。

(藤川)

本当にブームなりますから。それで、10人でも20人でも当選したら、石丸党が都知事に対して、4年後ではなくて、もうその時点からいろいろな質問を始めるわけですから。

(深田)

石丸さんが新党を始めたら、維新の人がそちらへ行くのではないのかと言う人もいるのですけれど、どうなのですか。

(藤川)

相当な雪崩現象が起きると思いますよ。みんな生き残ろうとしますからね。

だけども、僕は東京維新の会の事務局長を5年もやっていたわけですが、維新の立場もある。今回は、「石丸さんを応援したら除名だ」と言われて、誰も来なかったわけです。

(深田)

維新は石丸さんを応援したらダメだと言ったのですか。

(藤井)

ダメと言った。そして完全に封鎖したわけです。だから、1人が離党して応援に来てくれたわけです。「そこまでやるのかな」とは思いました。

だから石丸新党ができたとしたら、ちょっと大変なことになるとは思いますが、これはあくまで妄想です。

(深田)

自民党も崩れるのではないですか。

(藤川)

大変なことになります。

(深田)

石丸旋風で、今かなり自民党も戦々恐々としているみたいなことも言われていますけれど。

(藤川)

そうですね。これからどうなるか分からないにしても、たった1人がここまで影響力を持つのはすごいことですよね。時代を象徴していると思います。大きな転換期の中の現象だなと思います。

彼は大変だと思いますよ。こんなに重い責任を背負ってしまって、ああやって突っ張っているわけでしょ。これから人生において演じ切らなきゃだめでしょ。彼女がいるのかいないのか分からないけれども、演じ切るのが大変だと思う。僕だったら嫌ですよ。

(深田)

女性票は弱いのではないのですか。

(藤川)

全然だめですね。

(深田)

ものすごい印象が悪いです。

(藤川)

だって可愛いよ、ニコっとすればね。むしろ普段そうじゃないから、たまにニコっとする時に、「すごくいいな」と思って、その瞬間に写真を撮って撒くのですけれどもね。

いい男ですよ。本音はすごく優しい人間です。だから、あれは敢えてやっているのではないのかなという感じもしないでもないです。

(深田)

でも、やはり印象は良くないですよね。

(藤川)

でも、我々が「印象が良くない」と言っていて、印象の良くない人が160万票取っています。この結果をどう総括するかということになる。

(深田)

そうですよね。だから、何か私には分からない魅力があるのだろうなと思う。あれだけ伸びるのはすごいですよね。藤川さんが何か仕掛けたのかなと思っていました。

(藤川)

いっぱい努力しましたよ。もちろん、自信を持って「私がいなければ、あんな選挙はできなかった」とは言えます。

「藤川マジック」といつも選挙が終わった後にみんなに言われるのです。

でも今回、みんなやマスコミが「藤川マジック、また出ましたね」と言うから、「これは石丸ミラクルだ。私も何パーセンかの力はあったけれども、彼がすごいのだ」とみんなに言っているのです。

今度、会ってみてください。

(深田)

分かりました。是非、今度ご紹介ください。

今後の自民党はどうなりますか。

(藤川)

戦後79年、こうやって日本がなんとか世界の中で頑張って来られたのも、やはり自民党のいい時代があったからなのです。

僕も若い頃は、自民党の市会議員も経験しましたし、自民党の秘書でもあったわけです。特に田中派の。田中角栄先生などを目の当たりにして育ってきた世代ですから、やはり「昭和は良かったな」と思うのです。

秘書になりたての20代の頃、「先生、憲法改正はどうなるのですか」と聞いたら、「君なあ、憲法を正面から改正しようとすると国民が二分化する。今の日本に必要なのは生活なのだ。だから、国民の生活を安定させるために、経済を良くすることなのだ。そして、その後にそれをやればいい」と言われた時に、反発したわけですよ。

つまり、先生は「衣食足りて礼節を知れ。衣食が足りなければ礼節は守れない」と言っているわけです。

「でも俺は、衣食足りて礼節は崩れると思いますよ」とその当時言ったのです。

安倍さんの時に少しだけ議論しましたが、結局、憲法改正を自民党は1回たりとも本気になってやろうとしたことはなかったのです。これからも多分ないのではないかな。

(深田)

今、なんだか本気でやろうとしています。

(藤川)

いやいや、ポーズだけですよ。岸田さんのやっているのは、保守の票を取りたいためのポーズ。岸田さんは憲法改正をする気は全くないです。あの人は護憲派ですから。

自民党の安倍派というか、保守票をもらいたいから、そのためにリップサービスをしているだけ。だから全然進まないですね。みんなやる気はないです。今の裏金の問題だって本当に変えなくてはダメなのに、自民党は全然やる気ないですからね。

日本の政治構造で何が悪いかと言うと、みんな選挙を意識しすぎるのです。

本来は、国家国民のために政策が大事なのに、政策と選挙の重みを比べたら、選挙で勝つことが第1になるので、みんなそこで政策がぶれるのです。

憲法改正もそうだし、外交防衛という日本国家にとって最も大事な問題も、それをいくら真剣にやったところで選挙の票にならないから。

やはり、「どこに道路を作って」、「どこの畑を耕して」という生活に関わる分野にみんなは関心を持つ。だから、いわゆる内政派の議員が日本は多すぎるのです。

世界を相手に、「俺はもうトランプとはいつでも電話で対談できる」とか、あるいは「アメリカでもヨーロッパでも、これだけの人脈がある」というような議員が育たないのです。

(深田)

確かにいないですよね。

(藤川)

いないのです。だから情けないけれども、未だに鎖国をしているわけではないですが、日本はアメリカの核の下、まさにアメリカの統治国家になることでしか生きて来なかったために、その癖がついてしまった。

(深田)

岸田さんは、まさに言いなりですよね。

(藤川)

アメリカに行ったら、あんなに元気に喋ってね。日本でもあれぐらい喋ってほしい。

(深田)

あんなに意気揚々と喜んでいて、びっくりです。

(藤川)

今、バイデンさんも、そのまま出られるのかどうかわからない状況で、「バイデンとトランプ、どちらが勝つのだろう」と。みんな、「勝つとなったら、そちらと人間関係を作ろう」という程度で、初めからきちんと人間関係を作る国会議員は誰もいないのです。情けないと思わないですか。

(深田)

本当に情けない状態です。

(藤川)

だから、アメリカに対して、日本の利益をきちっと主張できるような国会議員が全く育たない。

「中国やロシアが危険だから」とみんな騒いでいるけれども、「同じ言葉をアメリカにも言えよ」と僕なんか言いたくなるのです。未だに横田基地の空域は、日本の普通の航空機が飛べないわけでしょ。情けないです。

(深田)

今回の裏金事件で、自民党政治というか、裏金政治というものに嫌気がさして、無党派票の受け皿として石丸さんに流れたのかなと思うのです。

(藤川)

その裏金だけではなくて、これまでの政治家のあり方です。

選挙の時は一生懸命頭を下げる。でも選挙から選挙の間は何をやっているか分からない。そしてまた、選挙の時だけ「よろしくお願いします」と言われることに、合理的な若い世代はだんだんと。

(深田)

嫌気がさしてますよね。

(藤川)

だから、例えばソフトバンクなどの有名な経営者たちは、あまり政治家と付き合わないです。付き合っても意味がないと。パーティーばかりやって金を取られるだけだと。

そうではなくて、本当に「国家、国民のためにお役に立つ」ということを明確に見せなければならないし、発信しなくてはダメなのに、政治家は選挙向けの発信ばかりなので、全く信頼できない。

それを支えている官僚の皆さんはどう思っているかと言えば、基本的に政治家のことを馬鹿にしていますからね。

(深田)

それはそうですよね。馬鹿にしますよね。

(藤川)

その人たちに呼ばれて、机を叩かれて指図されると、反感を抱く人は多いわけです。

今、GDPだってもう4位になってしまった。来年はインドに抜かれると言われているし、1人当たりのGDPだって38位ですよ。

韓国や台湾に、もう初任給は抜かれているけれども、来年、再来年には、1人あたりのGDPさえ抜かれるかもしれない状況になっている。「何をやっているのだ、政治は」と、漠然とした不安、怒りみたいなものを特に若い人たちは抱いている。

お年寄りは、それなりの貯蓄と昭和の時代の蓄積があるから、結構満足している人が多いです。

本来ならば、その人たちが「若い世代のためにもっと投資をして、いい国を作らなければならない」と思わなければダメなのに、「若い連中なんか親孝行してくれないのだから、あいつらは苦労すればいい」という気持ちになってしまっている。

(深田)

それだけではなくて、かなり年金も少なくなっているので、余裕がない高齢者層もいますよね。

(藤川)

それは2割から3割くらいです。後の人たちは結構豊かですよ。平均の貯金が3000万円です。考えられないでしょ。近所で3000万円持っている人なんて居ないと思うでしょ。

(深田)

でも意外と持っているかもしれない。

(藤川)

持っているのですよ。

日本の国は、なんだかんだ言って底力があって、結構豊かなところもあるのですよ。

そういう人たちに「どうですか?」と聞いたら、「ぼちぼちでんな」と答える。絶対に「自分は儲かっている」なんて言わないですから。

(深田)

私は今年46歳で、ちょうどロスジェネ世代ですが、もう二極化がすごいですよ。

美術の短大を出て、早稲田を出ているのですけれど、美術短大を出た人は、46歳の非正規雇用では貯蓄ほぼゼロ。正規雇用でも手取り20万円ない地方で暮らしている女子が…

(藤川)

いるの?

(深田)

いやいや、メインですよ。手取りで20万円ないですよ。

ただ、早稲田を出た人の年収は、46歳だと800万円から。外資に勤めている子は1200、300万円とか、1500万円とかもらっています。

(藤川)

だから、優秀な人たちは、みんな官僚にならないで外資に行ってしまうのですよ。

(深田)

そうです。だから、ものすごい二極化しているのです。

どの大学を出るか、大学を出た瞬間ぐらいから自分の人生が決定する。出る瞬間というか、もう入る瞬間ぐらいから決定している。

(藤川)

こんな言い方をしたらちょっと危険だけれども、敗者復活戦で、政治の世界には世の中のガラクタがいっぱい集まってくるのです。

(深田)

地方議員とかでも、かなりやばい人が…

(藤川)

就職運動ですよ。「政治をして地域社会を良くしよう」と思っているのではなくて、みんな就職運動で集まるのです。だからいい人材はいないのです。

(深田)

本当にそう思います。

(藤川)

だから、「政治家を一掃!」と変な人が言うと変な言葉に聞こえるのですけれども、彼が言うとなんとなくみんなが、「おう、そうだ!」となったのですね。

(深田)

最近、そういうエリート系の人が、突然、首長の選挙に出ることが結構ありますね。

(藤川)

だから今、首長が成果を上げている町は結構ありますよ。優秀な首長が多いです。

それはやはり「大統領制度」でしょ。自分に権限があるから、予算を使う権限もある。

だけど一議員だと、単にチェックする機能なので、やはり全然変わらないですね。

この違いは大きいです。

だから僕らは、「地方議員を2期やったら、もう首長選に出なさい。国会議員になっても、すぐに日本を変えることはできないから」と言っている。

僕の友人も、首長をやっている人がすごく多いです。

(深田)

そうなのですね。

(藤川)

私も首長選挙に出たけれど落ちてしまいました。

だから、144回選挙をやって14敗しましたが、そのうち3回は自分が負けている。人に誇れないですけれども、もう涙が出るくらい借金を抱えて、しばらくの間は、もうどうしようかと思って。

(深田)

インドネシアで金を掘っていたじゃないですか。

(藤川)

それは人にはなかなか恥ずかしくて言えないです。「アジア、夕日!」とか「アジアに行くぞ!」とか言っていたけれども、「日本に居ると追い込みが来るから逃げた」みたいな。あ、違うか(笑)

(深田)

そこは内緒にしておきましょう。

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