#51― 深田萌絵×ちょいワル先生 『どうなる円安・原油の未来?』

(深田)

政治と経済の話を分かりやすく政経プラットフォーム。ITビジネスアナリストの深田萌絵がお送りします。今回は為替アナリストのちょいワル先生にお越しいただきました。よろしくお願いします。

初めましてですね。石田和靖さんの越境3.0チャンネルは時々拝見していて、先日、原口一博先生の朝のライブ(松山)でご挨拶させていただいた時に、ご出演をお願いしました。

最近一気に円安が進んで、円安のために倒産する企業も増えてきた中で、半年ほど前に経団連が日銀総裁に、そろそろ円安をなんとかしてほしいと話をしたのですが、なかなか円安が収束する様子もありません。ここは経済アナリストやエコノミストよりも、常に為替のチャートを見ている方にお聞きしたいと思います。

(ちょいワル先生)

そうですね、毎日見ています。場合によって朝まで相場を見るケースもあります。お客様からの問い合わせもありますが、まだまだ円安ドル高が続くのではないかなと思います。

(深田)

石田さんによればペトロダラーとしてのドルの実需は細って、無くなっていくだろうということですけれども、それよりも円の安くなる速度の方がかなりすごいので、このままドル円はどうなってしまうのか、長期的な視点で説明していただきたいと思います。

(ちょいワル先生)

4月29日に160円を抜けて一度介入し、翌週もう一度介入した。ニュースでもありましたけれど、9.7兆円を使って、151円台まで行ったのですが、雇用統計が悪くそこからすぐまた切り上がってきましたね。ということは、政府・日銀介入は失敗と見ているのですね。

22年の時はうまく行きましたが、今は159円ちょっと位なので、動けないというか、動いても意味がないという状況です。アメリカがいつ利下げを開始するのか、日銀が国債の購入を減額すると言っていますが、この程度だったらまだ円安は続くのではないでしょうか。

(深田)

しかも為替介入をすると、アメリカから「為替捜査国とするぞ」と脅されていますね。

(ちょいワル先生)

20日か昨日に、そう言われているので、ますますやりづらい状況ですね。片や金利を上げる、片や下げる、これが合致しないと円安ドル高は収まらない。チャートもそうです。あらゆるテクニカルを分析してもほとんどが上向きのチャートなのです。ファンダメンタルズとチャートですね。買い継続中なので、いつ止まるかというのが難しいですよね。

(深田)

円安路線が収まる要素は全くないですか。

(ちょいワル先生)

厳しいと思いますね。日銀が今回こそ動く、今回こそという会合を続けているのです。3月に初めて利上げをしましたけれど、0.1%ですから、「こんなものか」と言って上がったわけですね。

(深田)

そうですよね。ネガティブサプライズですよね。

(ちょいワル先生)

先週の日銀も、もちろん利上げの可能性もあったし、長期国債を減額するのではないかと、会合前に騒ぐのですけれども、終わってみたら7月で議論して8月以降という話になっている。日銀のことになると、逆に下がったら買って儲かるみたいな図式になっているのです。

(深田)

しかも日銀自体がそろそろ利上げするかもという雰囲気を出し過ぎて、逆にやらない、やっても0.1%ではほぼインパクトがなく、逆に円が売られてしまうという状態なのですね。

(ちょいワル先生)

今日も午前中に神田眞人財務官が、昨日159円近く、午前中159円を抜いてきたことに対して牽制発言をしましたけれど、全然動かないです。「またか」という感じですね。

(深田)

市場としては日本の政治家、官僚、日銀が何を言っても「どうせ口先だけでしょう」と馬鹿にされているような状態ですね。

(ちょいワル先生)

4月29日みたいに大きく吹き上げて、例えば1日に2円、3円と相場が飛んだ時にレートチェックをするなど、文言が出てくる可能性はあると思います。まだまだ160円ぐらいでは収まらないと私は見ています。

(深田)

ゆくゆくはまた160円を抜けてくるのですか。

(ちょいワル先生)

今の状況であれば、9月ぐらいまでに163円になるのではないかと思います。

(深田)

表『日米 今月と前回の金融政策決定会合 結果』を見ましょうか。

(ちょいワル先生)

先週の検証ですが、こんな感じですね。上のFOMC(連邦公開市場委員会)もドットチャート(金利予測分布図)は年末まで利下げを3回行うと言っていたのが、1回に修正になったのです。1回がいつなのか、値下げが有力なのは11月です。「夏に下げて、その後どこかで下げて、年末に下げて、3回といっていたのが、11月もしくは12月に1回、または年内はないか」みたいな予想まで出ているのですね。

(深田)

アメリカが利下げをしたら、金利差が縮まって円安要因は少し弱まるけれども、その様子はないですか。

(ちょいワル先生)

ないです。では日銀はどうか。マイナス金利を解除しました、YCC(イールドカーブコントロール)も撤廃しました。ですが、この時から逆にまた勢いづいて上がってきているのです。先週の会合では、長期国債買い入れを減額するとしても8月かなという感じです。

それまでの状況によって、例えばここから3円も5円も上がると政府・日銀は考えないといけないし、何らかの手は打つでしょうけれど、このままストレートに考えた場合は、下手すれば11月ぐらいまで円安が続くかもしれない。

(深田)

163円をつけるどころか、超えてもっと行ってしまうという可能性はあるということなのですね。 チャート「一目均衡表から見る2024年1月からの米ドル/円(日足)」の方も解説していただきたいと思います。

(ちょいワル先生)

1月から実際に20円上がっています。

(深田)

ドル円のチャートで日足ですね。

(ちょいワル先生)

1月初めから高値まで20円上がっているのですね。

(深田)

めちゃくちゃ上がっていますよね。

(ちょいワル先生)

3月19日にマイナス金利解除と書いていますけれど動いていないでしょう。予想の範疇だったので逆に買われてしまった。日銀が2回(4月29日、5月2日)頑張りました。細かいのを入れたら4・5回やったということなのですけれど、これだけのお金(9兆円以上)を使って、成功したといえるのか。2022年はそこからグーっと勢づいて下がったのですが、今回は全く違う。一目均衡表と言いますが、完全に雲の上に乗っている状態なのです。1回抜けてそのまま行っている。

(深田)

ずっと上昇トレンドということなのですか。

(ちょいワル先生)

そうです。上昇トレンドが1月からずっと続いているということです。

(深田)

ドルが強く円が安いというトレンドが終息する様子は、ファンダメンタルズ上もチャート上も見えてこないということですね。

(ちょいワル先生)

今上ヒゲを実線で抜いてきた場合はどう考えても163円。そこで落ち着くかどうかを見極めたいと思います。

(深田)

163円を抜けてきたら次のイベントで、アメリカが11月に利下げに踏み切るかどうかが肝になってくる。

(ちょいワル先生)

そうですね。日銀は国債の買い入れ額をずっと6兆円、6兆円でやって、それを1兆円では効き目がないので、さらに2兆円ぐらい増やす。もしくは全部やめるとかなると別です。第一段階でそれをやって、次の会合で利上げをする。しかし、時間的に考えると、今月や来月という話ではないので、最短で9月ではないか。

(深田)

利上げ、利上げとは言うが、輸入物価が上がったために物の値段は上がってきて、インフレになっているわけですが、需要サイドがものすごく弱く、簡単に利上げができないという難しい状況なのですね。日銀も簡単に利上げはできない、アメリカも簡単に利下げはできない。

(ちょいワル先生)

アメリカは利下げしようと思っても、各指標結果などを見て、とりあえず先伸びになったというのが続いています。日本もそうです。政府・日銀が介入するといっても、アメリカの許可をもらわないと勝手にできませんから、それを踏まえてまだ時間がかかる。 緩やかなのか激しいのか、円安は止まらないという考えで、お客様たちにも「売り値で、安易に下げ狙いはだめですよ」とずっと言っています。

(深田)

これはドルが強いというより円が弱い。

(ちょいワル先生)

そういうことです。

(深田)

円がとにかく弱いということですね。今日、銀座の銀行に行ってきたのですけれど、銀座はいつ見ても外国の方がお買い物にいらっしゃっています。しかも東アジアの方がシャネルとかディオールとか高級ブランドの前に行列しているのですよね。これも偏に円が安いから。円が安いということがいつまで続くのか。日本経済にかなりマイナスの影響を与えているのですね。しかし、日本政府は、何も打つ手立てがない。

(ちょいワル先生)

お家の事情が色々ありますからね。

(深田)

今後の日銀やアメリカの政策金利予想の動向はどうなっているのか、こちら「日銀・FOMC 今後の政策金利予想」も見てみましょう。

(ちょいワル先生)

これも三日置きぐらいでコロコロ変わるのですけど、日銀を見ますと、7月30、31日に据え置きが65.4%です。日銀が7月31日に発表して、翌朝FOMCがほぼ同日に据え置き(90.0%)と書いています。9月は日銀の利上げの可能性が69%、FOMCの利下げの可能性が64%のようなので、最短で(9月と)お話しましたけど、こういう根拠もあるということですね。

(深田)

日銀の方は当分、9月ぐらいまでは利上げは難しいかなというところが見込まれてそうですね。

(ちょいワル先生)

これが3か月前は、ほぼ100%だったのです。これがどんどん落ちているのですね。利上げ確率がさらに落ちてくるのではないかなと思います。

(深田)

今後も利上げは難しい。日本がどうなるのか、しばらくは円安で、輸入物価が上がることでインフレ率もずっと高止まりになりそうですね。

(ちょいワル先生)

企業は大変なところはあるのですが、我々一般からすると、確かに物は高くなりましたけれど肉は牛を豚に変えるとか、野菜は安い所で買うとか、そこまでのダメージや影響ないですからね。ただ、これが170円とか200円になると、とんでもないことになるのですね。

(深田)

170円とか200円に行く可能性はあるのですか。

(ちょいワル先生)

200円はないと思いますけれど、心の中では「このまま進めば170円はあるのかな」と考えています。

(深田)

恐ろしいことですね。

(ちょいワル先生)

個人的な分析もありますけど163円ぐらいが節目で、一旦は目途かなと考えています。

(深田)

私もまだドル預金も持っているのですけれど、もうしばらく持っていてもいいですか。

(ちょいワル先生)

持っていた方がいいと思います。

(深田)

今の政権では日本が強くなるとか日本円が強くなる要素が全く見えてこない。

(ちょいワル先生)

批判的なことを言うとよくないのでしょうけれど、本当に何とかしてもらいたいですね。

(深田)

全然、批判して結構だと思います。ではここから原油は今後どうなっていくのか、ご解説いただきたいです。

(ちょいワル先生)

原油もそうですが、コモディティ全体が上がっています。金も1万2000円です。オレンジジュースも何もかも全部上がっているみたいです。基本的に円安が理由でもありますし、原油に関しては減産とか需給バランスが崩れ始めて、中東の問題もありますね。一旦落ち着いてきたのですが、ここ最近から切り上がってきた。

(深田)

ドル建てでも強くなっています。

(ちょいワル先生)

色々な要因はあります。

(深田)

ではこの表「原油 各国の金利動向と今後の注目材料」です。

(ちょいワル先生)

当然ながら、もちろん円もドルも関係があり、ユーロも関係してくるのですね。まず金利でアメリカ、ユーロ、日本ですけれど、特に日本に関しては円安の影響は強いかもしれません。それから原油国の政情不安です。これがまず1つ注目です。

(深田)

ロシア・ウクライナの関係が難しいことと中東ですか。中東はヒズボラとイスラエルの関係ですか。イランとイスラエルの関係がかなり悪化しているので、ここが肝になってくるのですか。

(ちょいワル先生)

最終的に停戦とか終結になるといいのですが、全然収まりそうにないですよね。

(深田)

後は産油国の減産措置が延長されるところで、バイデン大統領が増産してほしいとお願いに行っても完全スルーされている。

(ちょいワル先生)

そうなのです。ロシアはそういう気がなく、因縁をつけている状態ですから、増産はできないのではないですか。

(深田)

需要に対して供給は今後も増える予定はない。

(ちょいワル先生)

増える予定はなく、横ばいか減る可能性がありますね。

表の一番下のアメリカドライブシーズンが面白いのですけれど、独立記念日前後からドライブシーズンで消費がすごくアップしているらしいですね。

(深田)

アメリカでちょっと出かけようとなると、何百kmも走る。

(ちょいワル先生)

そうですよ。日本は今、ガソリン料金を援助してもらって、1リットルが170円ぐらいですけど、援助がいつまで続くのか分かりませんが200円ぐらいになるとこういうことも影響しますね。

(深田)

アメリカのドライブシーズンなのですが、アメリカは長らくEVを推進していたのですけれども、EVの重要もかなり弱ってきていて、テスラ社のEVの墓場みたいなものが出来上がりつつあるのですよ。テスラはEV直販システムにしているのでディーラーに預けないのですね。売れないと、工場の周りにテスラのEVを止めておかないといけないのです。その数がかなり多く、衛星写真に映ってしまうぐらいなのですね。

EVの需要が細ってきているのですけれど、EVを買っても充電にすごく時間もかかってしまいます。充電をしている間に家が一緒に燃えてしまう事故も結構報道されているので、やっぱりガソリン車の方がいいですね。

(ちょいワル先生)

日本でも知り合いが、充電ステーションがなかなか見つからなくて「ちょっとダメだね」と言う人もいますね。

(深田)

ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、それまで「EVだ、EVだ」と言ってきたのですけれども、電気代が上がってきて、EVに充電しても実は安くないという状態になってきている。「やっぱりガソリン車だ」といって、ハイブリッドとかガソリン車への回帰が去年から始まっている。

(ちょいワル先生)

そうでしょうね。ハイブリッドだったらガソリンよりも節約になるのでしょうね。今、そういう商品の需要もすごく伸びている。

(深田)

おそらくアメリカとしては脱炭素を推進して、中東やロシアという資源国を封じ込めにかかりたかったようですけれど、やり過ぎて思惑が外れた。アメリカも石油が欲しいとか他の国が石油を輸入したいので、中東に増産して欲しいとバイデン大統領経由で頼んで来られても、中東はあれだけ自分たちのことをいじめてきたので、今更アメリカの言いなりにはならないというモードなので、増産はあまり期待できないという流れですね。

チャート「一目均衡表とMACDから見るNY原油(複合型)」の方はどうでしょうか。

(ちょいワル先生)

これも昨年9月に90ドル超えで、そこからずっと下がって20ドル切り上がって、また下がってようやく今81ドル抜けですからね。この辺まで戻ってきている。大きなブレは中東に大きく影響されます。落ち着くと下がる。これからは需要もあり、減産の件もあり、総合的に原油価格は上がるのではないかと思います。

(深田)

このチャートから見ても今後、原油の値段が下がってくるという様子は見えてこないのですね。

(ちょいワル先生)

もちろん株も為替もコモディティもそうなのですけれど、ファンダメンタルズで「わーっと、増産だ、減産だ」といって強烈に下がったり上がったりしますね。そうすると投資家の皆さんは「やばい、やばい」とか「やった、やった」になるわけですが、1日、2日で落ち着くケースがあるのです。ファンダメンタルとテクニカルを確認してから動かないと高値で買ってしまったというのが結構あります。ただ物の値段なので、確かに増産減産だけでも原油は今後上がるか下がるか、あとOPECの動向とかロシア、サウジ、この辺を観察してやっていかないとトレードは難しいと思います。

(深田)

ロシアもサウジも今はどちらかというと反米です。これ以上アメリカの言いなりにはならないという確固たる意思を見せつつある。先日、石田さんにも解説していただきましたが、ブリックスの中で活躍している新セブンシスターズ的な新しい石油会社ができて強くなってきているので、アメリカの言いなりにはならないのだ、ドルもいらない、自分たちの経済圏は西側諸国よりも大きいのだ、そういうファンダメンタルズ、新しい世界がもう一つできている。そこにアメリカが石油の値段を下げたいと思い、増産してくれと頼んでも、うんとは言わないだろうというムードにありますね。

(ちょいワル先生)

石田さんといつもセミナーでご一緒させてもらって、そういう話や中東の話を聞いています。今度本を出され、前の本も読んだのですが、本当に中東が世界のリーダーになるのではないかという感じになっています。

(深田)

グローバルサウスがどんどん力をつけてきていますから今後、原油は強くなっていきますね。

(ちょいワル先生)

原油はもうアメリカの言いなりにならないみたいな形になっていますね。

(深田)

ここからお知らせ(“ドルと原油と世界経済”~ちょいワル先生&石田和靖氏~)に入りたいと思います。

(ちょいワル先生)

一昨年から石田さんと回らせていただいて常に満席です。このように旭川、宮崎小田原と全国を回っています。

(深田)

すごいですね。石田さんもご活躍ですよね。

(ちょいワル先生)

そうですね。日本中あちこち、コラボでお付き合いいただいて回らせてもらっています。

(深田)

こちらの講演は無料です。お申し込みは電話番号0120―781―156です。

(ちょいワル先生)

岡安商事のホームページからでもお申し込みできます。私は毎日Xをやっていますので、こちらをご覧いただければお申し込みできます。よろしくお願いします。

(深田)

今回はちょいワル先生に今後の原油はどうなるのかというところをご解説いただきました。ありがとうございました。

政経プラットフォームでは毎回様々なゲストをお招きし、大手メディアではなかなか得られない情報を皆様にお届けします。日本を変えるために行動できる視聴者を生み出すというコンセプトで作られたこの番組では皆様のご意見をお待ちしております。また番組支援は説明欄のリンクからお願い申し上げます。

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