#35 深田萌絵×安藤裕 『日本の社会保障費134兆円の解決策!?』

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【目次】

  • 00:00 1. オープニング
  • 00:45 2. 社会保障費とは何か
  • 03:30 3. 財源の不足は国債の一択
  • 06:36 4. 国債は借金ではなく政府の貨幣発行
  • 10:57 5. 新しいお金が生まれるから経済が大きくなる
  • 14:53 6. 政府が国債を発行すると国民が豊かになる
  • 18:13 7. 国債は満期になっても借り換えれば済む
  • 20:04 8. 国債を返済すれば国民の資産が無くなる
  • 23:08 9. 政府のやるべきことは財政赤字の拡大

(深田)

政治と経済の話を分かりやすく、政経プラットフォーム、ITビジネスアナリストの深田萌絵がお送りします。今回のゲストは前衆議院議員で税理士でもいらっしゃる安藤裕先生にお越しいただきました。先生よろしくお願いいたします。「消費税は社会保障費に充てられている」と役所側の説明があるのですけれども、これまで消費税のお話をしていただいたので、今回は、消費税を活用している社会保障そのものに問題がないのかどうか教えていただきたいです。

(安藤)

はい。この「消費税が社会保障の財源に全額充てられている」というのは詭弁なのです。要するに、消費税は単なる一般財源ではありませんか。特別会計に入れられてもいません。そもそも社会保障に必要な財源は非常に巨大で、消費税を全部入れても足りません。だから、この詭弁は「全部使っていますと言おうと思えば言える」だけの話で、なんの意味もないのです。つまり「消費税は社会保障の財源だから必要だ」という財務省の詭弁に乗せられていること、また、あまり何も考えずにそのように言っている人が多いことが問題ではないでしょうか。今日はそのような社会保障についてお話ししていきたいと思います。

まず、皆さんの大体のイメージを項目にまとめました。

◆少子高齢化が進んで、社会保障財源が足りない

◆日本の財政は危機的状況である

◆現役世代が高齢世代に仕送りしている

◆これ以上現役世代の負担を増やす事はできない

以上から、社会保障全体としては、社会保障、年金のお金や健康保険も、現役世代が負担して、高齢者が年金をもらったり、お医者さんにかかったりしているので、皆さんは「こういう状況では、どうしようもないと」と懸念し、あれこれ議論をしているのです。厚労省の資料である「社会保障の給付と負担の現状」の図によれば、社会保障で給付するお金が、昨年2023年度の予算ベースで134兆円規模です。

(深田)

134兆円とはこれ、とんでもない数字ですよね。

(安藤)

GDPも構成していますからすごい数字です。年金に60兆円、医療費に41兆円、福祉その他で32兆円かかっていますが、これだけの財源をどのように調達しているかというと、健康保険や年金などの保険料で77兆円徴収しています。国と地方がお金を出しているので、公費からも53兆円あります。また、積立金の運用収入もありますが、基本的にはこの2つでやっています。これから高齢化がますます進むので、給付もますます増える問題にどう対応するか議論されています。公費を増やすわけにはいかず、現段階で一般的に考えられている対策は以下の通りです。

◆消費税の増税

◆社会保険料の増額

◆年金給付額の削減

◆医療費自己負担分の増額

◆社会保険対象の診療の縮小

◆国民年金保険料の支払い期間延長

この社会保険対象の診療の縮小とは、「社会保険を今まで幅広くやりすぎたから、報酬対象である保険診療の一部を自由診療にして給付額が減らそう」ということです。国民年金保険料は支払期間を60歳から65歳に引き上げ、ほぼ実現しそうです。こういったものを積み重ねていって、「なんとかやりくりするしかないよね」という感じになっていますが、「ならば、財源として国債を使えば良いのではないか」という案もあります。しかし、「国債は次世代へのツケ回し」「国債発行し過ぎは円安・インフレの元」「これ以上国債発行に頼るわけにいかない」など、反論があります。

「でもこれ、全部間違い」という話を今日はしたいと思います。

(深田)

はい、お願いします。

(安藤)

財源は、もはや国債一択です。

財源は国債一択です。最近、「円安を招いているのは、国債を刷り過ぎたからだ」とよく言われていますが、下記のグラフをご覧ください。このグレーの線の国債発行残高、政府債務残高はずっと右肩上がりです。それに対して、為替レートが青い線です。

(深田)

相関が取れないですね。

(安藤)

相関関係は一体どこにあるのでしょうか。

(深田)

これは全く無いですね。

(安藤)

そうでしょう。なぜ「国債を刷り過ぎたから円安になっている」と言うのか、もう不思議でたまらないのです。

(深田)

論拠がないですね。

(安藤)

確かに、この2年程、円安になっていますが、「政府の借金である国債残高は為替レートに結びついている」という説がおかしいというのは、このグラフを見ればすぐに分かります。

(深田)

そうですよ。アメリカは政府債務残高が伸びに伸びているのにドル高の国ですものね。

(安藤)

その通りです。だから、このグラフから「債務残高と為替に相関関係はない、別の要因がある」ということが汲み取れます。「円安だから、これ以上国債を刷るべきではない」という説は、このグラフだけで論破できます。「論破する」という言葉はあまり好きではないですけれども、「データを見たのならば、ちょっと落ち着け」と言いたいのです。

(深田)

そうですね、おっしゃる通りです。

(安藤)

今日は持ってきていない資料なのですけれども、インフレもここ数年の話なので、債務残高と関係ありません。「インフレ・円安になっているから、国債を刷ってはいけない」と言われていますが、そこに相関関係はないのです。

(深田)

インフレの要因は、やはりロシアのウクライナ侵攻から波及した欧州などでの物価高ですよね。

(安藤)

エネルギー価格の上昇など、世界的なインフレが起きたから、日本にその影響が出ているだけであって、日本の国内で物が売れに売れてインフレになっているのではありません。だからなぜ「今のインフレや為替円安になっている原因は、国債を刷りすぎているからだ」という説が大真面目に言われているのか、僕は不思議でたまらないのです。

(深田)

確かにそうですね。私もそのようにニュースで見ていたので、そうなのかなと思っていました。

(安藤)

不思議ですよ。それでは「そもそも国債とは何か」という話です。深田さんには「釈迦に説法」だと思いますが、国債とは、政府が発行する債券、イメージとしては借金なのだけれども、その実態は「政府による貨幣発行」です。

(深田)

ほぼそうですよね。

(安藤)

でも、これがほとんど理解されていませんし、「いやいや、借金だ」「国債イコール通貨発行なはずがない」と一部の国会議員も言っています。では、その借金とは何なのでしょうか。今日はその辺も話していきたいと思うのです。現代の銀行の役割を例にとって「お金の生まれてくる話」をしましょう。融資の実態として、「預金は借金によって作られる」ということです。皆さんはよく「銀行は、国民から集めた預金を元手にして、企業に融資をしている」と思っているのですが、それは間違いです。

(深田)

「銀行は国民から集めた預金を元手に企業に融資をしている」というのは間違いなのですね。

(安藤)

銀行は国民から預金を集めて、それを企業に貸し出しているのではなく、全国銀行協会の「図説わが国の銀行(10訂版)」によれば、「銀行が貸出を行う際は、貸出先企業Xに現金を交付するのではなく、Xの預金口座に貸出金相当額を入金記帳する。つまり、銀行の貸出の段階で預金は創造される仕組みである」とあります。

(深田)

そうなりますよ。銀行のバランスシートを見たら自己資本比率はそれ程ないですもの。

(安藤)

だから、僕が銀行だとして、深田さんが僕のところに「1000万円貸して下さい」とお金を借りに来るとします。僕は「この人、お金借りたまま逃げないかな」「返してくれるかな」と深田さんの信用調査をして、「この人は返してくれそうだな」と思ったら、融資すると決定します。その後、銀行はどうするのでしょうか。

(深田)

銀行に来て1000万円の現金を渡す、なんてしませんね。

(安藤)

どうするかと言うと、深田さんから通帳を借りて、そこに1000万円と書いて、「ハイッ」と返すのです。これでお金を貸せるのです。

(深田)

そうですよね、それだけですよね。

(安藤)

銀行はすごい奴なのですよ。

(深田)

勝手に数字書いて良いのですもんね。

(安藤)

手元にお金がないのに、お金を貸すことができるのです。

(深田)

よく考えたらそうなりますよね。

(安藤)

そう、これすごい話なのですよ。

(深田)

銀行に通貨発行権があるのでしょうか。

(安藤)

要するに、銀行は通貨発行権を持っているのです。

(深田)

そうなりますよね、事実上勝手にお金を作っていますよね。

(安藤)

しかし、この「銀行業」の発明によって、資本主義は発展し経済成長するのです。例えば、100億円の設備投資が必要な電力会社があるとしましょう。銀行が、まず100億円の預金を集めないとお金貸せないとなれば、そもそもお金を貸すなんて無理です。しかし、銀行は今言ったように、お金が無くてもお金を貸せます。だから、通帳上の数字だけで、電力会社は銀行から100億円を借りて調達することができます。それによって、巨額の設備投資が可能になりますし、電力会社は「今まで日本国内に存在しなかった」10億円を使って、従業員に給料を支払い、取引先に材料費を支払います。取引先は「今まで日本国内に存在しなかった」お金を手に入れて、自分のところの従業員に給料の支払いをします。結果、みんなが「今まで日本国内に存在しなかった」お金を手に入れて、豊かになります。

なので、資本主義の世界でみんなが豊かになるには、誰かが借金して、今まで存在しなかったお金を増やしていくべきなのです。

(深田)

そうですね、本当におっしゃる通りですよ。このスタジオを作るのにお金を借りて、設備投資をして、さらに新しい番組を作って収入を得ていくというように、お金を借りるからこそ出来ることがあります。

(安藤)

それで新しいお金が生まれて、どんどん国民に渡っていくことで、経済は大きくなっていくのです。負債は、資本主義の社会においてとても重要で、負債が拡大していかないと、資本主義の社会は経済成長していかないのです。

(深田)

お金を借りられなかったら、設備投資をできません。設備投資ができなかったら、次の新しい財やサービスも生まれません。そうすると、付加価値のあるものが生まれないから、売上が伸びていきません。

(安藤)

付加価値も購買力も伸びていかないので、通帳に書き込むだけ、キーボードで入力するだけでお金が生まれるシステムが大事で、「万年筆マネー」や「キーストロークマネー」とも呼ばれています。イングランド銀行によれば、「商業銀行は、新規の融資を行うことで、銀行預金の形式の貨幣を創造する」とあります。要するに、お金は借金で生まれてくるので、世間では「打出の小槌などない」とよく言われますが、それは違うのです。

(深田)

正しくここにありますね。

(安藤)

「打出の小槌はある」ということですよ! 「打出の小槌などあるわけない」と言われるけれど、実はあるのです。

(深田)

冷静に考えて、「なぜ銀行にこのような権限があるのだろうか」と不思議になりますよね。

(安藤)

すごい話でしょう。

「銀行が、なにかとんでもない事をやっているのではないか」という話です。なにも無いところからお金を貸して利息を上乗せして返させますから儲かります。

(深田)

絶対儲かります。元手が無いではありませんか。通帳に数字を書いているだけです。

(安藤)

だから、貸し倒れになったら困るのだけれど、貸し倒れない相手に貸している限り、非常に儲かる商売なので、すごい仕事ですね。つまり、「銀行が融資をすることによって、新たな預金が作られること」「銀行は何もない所から融資をする事が出来ること」の2つをまず知っていただきたいのです。

では、国が国債を発行するとはどういうことなのでしょうか。次はこれを説明していきますが、時間の関係でざっくりとやります。

(深田)

はい、お願いします。

(安藤)

皆さんは繰り返し見てください。さっと行くので、もう一遍見ないと分からないと思います。

まず、国債を発行して政府が財政赤字の形で財政出動したときに何が起こるかというと、最初に日本銀行が民間銀行に当座預金の貸し付けをし、その資金を使って民間銀行が国債を購入します。その時に、日本銀行が間に入って政府の方にお金を渡します。つまり、国債を発行する事によって、政府は当座預金を手に入れて、国債という借金が発生します。

政府がそのお金を使って民間に何かしらの支払いをするとします。例えば、コロナの時に生まれた給付金を払おうとすると、政府は当座預金のお金を使うので、財政赤字が発生します。一方、給付金は日本銀行を経由して民間銀行に行き、民間銀行が国民の通帳に書き込みをして、預金通帳に入れます。つまり、政府が財政赤字を拡大すると、国民の資産が増えて国民の黒字が増えます。

(深田)

これ見たら国民は借金していないですよね。

(安藤)

そう、だから「政府の赤字はみんなの黒字」なのですよ。

(深田)

本当に「政府の赤字はみんなの黒字」になっています。

(安藤)

なので、政府が国債を発行すると、新しいお金が生れて国民の黒字が増えます。政府が国債を発行して財政赤字を拡大するとは、国民を豊かにするということなのです。ただ、このままではゴチャゴチャするので、一旦整理します。

例えば、政府の欄の当座預金にプラスとマイナスがあるでしょう。これら全部を相殺していきます。同じ項目でプラスとマイナスがあるものを全部相殺していくと、政府の財政赤字と国債という借金が残ります。民間銀行には、国債という資産と、国民に対する預金という負債が残ります。国民の側には、預金という資産と黒字純資産が残ります。政府が国債を発行して財政赤字を拡大すると、国民が豊かになるという結論に至るわけです。

(深田)

そうですね、本当にそうなりますね、こうやって仕分けしていくとものすごく分かりやすいです。

(安藤)

これが実務なのです。だから「政府の赤字はみんなの黒字」でしかないのです。

では、仮にこの国債に満期が来て、借り換えをするとします。借り換えの時に何が起きるかと言うと、このような動きになります。まず、初期の残高が、さきほどのものを引き継いでいます。この残高から、既発の国債が満期を迎えるとします。さきほどと同じように、まず民間銀行が新しい国債を手に入れます。皆さんは後でここゆっくり見なおして下さいね。

さて民間銀行が新しい国債を買いましたので、政府は新しい当座預金を手に入れて、元々持っていた国債の返済(償還)をします。すると、民間銀行がこの国債の返済を受けます。

ここでまた、プラスとマイナス全部相殺していきます。全部相殺すると、このような形になります。

(深田)

同じではありませんか。

(安藤)

同じです。そこが注目してもらいたいところです。国民にとって借り換えも全く関係ないのですよ。

(深田)

国民は全然関係ないですね。借り換え国債が政府と銀行の間でやり取りされるだけです。

(安藤)

そうなのです。だから、借り換えは国民にとって無関係で、勝手に銀行と政府の間でやり取りして終わりなのです。

(深田)

私たちには関係ないですね。

(安藤)

借り換え債は関係ないのです。だから、永遠に借り換えていてくれれば、何も問題ありません。では、今流行りの「国債残高が多すぎる、減らさなければならない」ときに、どうすべきなのでしょうか。

国債残高を減らす為には、「税金を集めて返さなければならない」と言われていますが、実際に税金を集めて国債を返済したらどうなるのかというと、国民は赤字になります。

せっかく利益を出していたにも関わらず、納税したら全部取られてしまうということです。国民が納税したら、民間銀行を通じて政府に渡りますので、政府は預金を手に入れて黒字になります。

この預金で国債の返済をするので、このようになるのです。これ全部またプラスマイナス相殺していきます。相殺していくと、全部消えてしまいます。元々あった財政赤字も、黒字になったのでプラスとマイナスで消せます。政府の財政赤字が消えてプラマイゼロになりますが、国民の側は、せっかくプラスの純資産があったのに徴税で赤字になってしまい、国民の資産もなくなります。

(深田)

なんにも無くなってしまいますね。

(安藤)

なんにも無くなるのですよ。

(深田)

不思議。

(安藤)

だから、税金集めて国債償還すると、せっかく国民の手元にお金があったのに、無くなってしまうのです。

(深田)

なんにも無くなりましたね。

(安藤)

ゼロになるのです。だから、国債残高を減らす行為は、国民の資産をなくす行為そのものなのです。

(深田)

これを見ると、確かにそうなります。

(安藤)

だから、「なぜそのような目標設定にするのですか」「おかしいではないですか」という話です。「政府の赤字はみんなの黒字」であって、政府の債務は悪いものではないのです。さきほど示しました通り、一生借り換えていけば、国民はずっと無関係でいられるので、全然問題にならないのです。徴税で返済したら、国民の資産が減ってしまうので、国債を減らしてはだめなのです。

(深田)

先進国を見ていると、政府の債務残高はどの国もずっと増えています。

(安藤)

増やさないと経済成長しないので、増やすのが当たり前なのです。通貨の供給量を増やさないと、みんなを豊かにする事ができないではありませんか。通貨供給量の増加はすごく大事です。

ここまで「経済成長には通貨供給量の増加が不可欠である」と話してきましたが、一度押さえておくポイントをまとめましょう。

◆国民全員の預金通帳の残高増加が経済成長の実感に繋がる

◆バブル崩壊以前はその成長が実現出来ていた

◆日本国内で新たに預金通貨が誕生したことで、国民全員に行き渡っていた

残高が増えれば、「ああ、俺の預金増えたな」「資産増えたな」と実感できるではないですか。だから、「一億総中流」が実現できたのです。皆さんの預金通帳の残高の増加を実現しなければだめなのです。

(深田)

確かにそうだと思います。

(安藤)

しかし、今の日本はどうなっているでしょうか。分かりやすいので僕がいつも使っている資料のこの図は、岡三証券と書いてありますが、現在クレディ・アグリコル証券に移られた会田卓司先生が作られた、政府と企業の資金需要のグラフです。

赤い線がゼロより下にあると、政府が借金している状態、ゼロより上にあると、政府が借金を返済している状態だと考えてください。さきほども言いましたが、借金しているときは、お金を生み出しているので、企業の貯蓄率を示すグレーの線を見ると、バブルが崩壊する前までは企業もゼロより下にあるのです。つまり、企業も借金して積極的に設備投資をしていたのですが、バブルが崩壊して以降、企業の線は長らくプラスにあります。プラスにあるので、「お金を生み出していない、生み出すどころか消滅させている経済主体である」と言うことができます。そしてこの赤い線の政府の財政状況は、基本的にずっと赤字です。

(深田)

はい。でも、このグラフから恐ろしいことが見えてきますね。企業の貯蓄率と一般政府の収支が完全なる逆相関になっています。

(安藤)

そう、基本的には逆相関になるのです。それで注目してもらいたいのは、ピンク色に塗りつぶした部分です。このピンクの部分が「企業と政府の貯蓄率の合計」なのですが、着色部分が、バブル崩壊の前までは下の方に突き出ているでしょう。つまり、国内でたくさんのお金が生み出されて、バンバン国民に渡されているのです。だから、景気がいいのですよ。ところが、バブルが崩壊して、企業が貯蓄率をプラスにすると、お金は消滅する力の方が強くなって、着色部分が縮小していきます。だから、ずっとゼロ近辺をウロチョロしているのでしょう。国内にあるお金の総額が増えない、増えないから経済成長しようがないのです。日本の経済が20年間停滞している原因は、ここにあるのです。だから、政府が今すべきことは、財政黒字化ではなく、財政赤字の拡大なのです。

ずっとゼロを突き抜けていますので、アメリカはどんどん資金調達して、バンバン国民に渡しているのです。景気がいいに決まっているのですよ。

今日本に足りないものをまとめると以下の4項目が挙げられます。

◆財政赤字の拡大(通貨供給量を増やす)⇒デフレからの完全脱却

◆個人消費の拡大、中小企業の支援

◆輸入物価高騰によるインフレ対策

◆行き過ぎた円安対策

これらを実現するため、「消費税廃止」「社会保険料を1/4程度まで激減」「ガソリン税廃止」などを中心とした政治対応をして、「経済成長を取り戻してからの利上げ」から「円安是正」を図るべきです。

では、社会保障の財源はどこなのでしょうか。税や社会保険料は財源ではありません。財源は国債です。国債で「新しいお金」を生み出して使ってください。そうすれば、日本の財源問題はそもそも存在しません。「社会保障の財源が無い」というのは嘘です。財源はあります。国債を使えば良いのですから。だから、税や社会保険料は、国民から通貨を徴収するための手段でしかなく、景気動向と通貨供給量のバランスを見ながら増税・減税を調整するのが本来の財政政策の役割でしょう。社会保障の財源を、税と社会保険料のみで運営しようとすること自体が大きな間違いだと思います。この誤った財源論から抜け出し、「国債をどんどん使っていこう」という発想に転換をしない限り、我が国の社会保障問題は解決に向かわないのです。

(深田)

本当におっしゃる通りだなと思いました。「国債をこれほど発行していいのか」とよく議論されますが、やはり学校で習った事が忘れられなくて、「国債をこれほど発行して日銀の当座預金がパンパンになったのだ」と信じていると、心理的に「これは学校で習った『やってはいけない事』に今、向かっているのか」と私たち国民は思ってしまうのです。

(安藤)

小学校では、教科書にもそのように書いてあって、教え込まれているのでしょう。

(深田)

今、「社会保障費が足りない、でも社会保障の負担率を上げると国民は生活できない」ことが議論に上がっていますが、政府が国債を発行し「今まで存在しなかったお金」を借りることが、社会保障問題を解決する最善策であることを前衆議院議員そして税理士でもいらっしゃる安藤裕先生からご解説いただきました。先生ありがとうございました。

政経プラットフォームでは毎回様々なゲストをお招きし、大手メディアではなかなか得られない情報を皆様にお届けします。日本を変えるため、行動できる視聴者を生み出すというコンセプトで作られたこの番組では皆様のご意見をお待ちしております。また番組支援は説明欄のリンクからお願い申し上げます。

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