#26ー 深田萌絵×安藤裕 『国民を苦しめる消費税の正体』

(深田)

政治と経済の話を分かりやすく、政経プラットフォーム、ITビジネスアナリスト深田萌絵がお送りします。今回のゲストは前衆議院議員で税理士でいらっしゃる安藤裕先生にお越しいただきました。安藤先生よろしくお願いします。本日は国民を苦しめる消費税の正体について、先生から教えていただきたいと思います。

(安藤)

消費税は、インボイスが昨年の10月に導入されるまで注目を集めていましたが、最近は注目度が落ちてきているように見えます。消費税は、導入された平成元年から、日本の経済をずっと停滞させてきた元凶そのものです。

(深田)

GDPの半分以上は個人消費で構成されていますが、その個人の消費の根幹である、お給料からお金を払う時に、税金がさらにかかってしまいます。これでは経済は成長できません。

(安藤)

ほとんどの人が、買い物する度に消費税を払わされていると勘違いしていますが、実はそうではなく、消費税は企業に課せられている税金なのです。しかし、財務省が長らく嘘を言っており、教科書にも嘘が書かれていて、いわゆるテレビや新聞の有識者もその嘘に乗っかって、消費税を理解して喋っているので、ほとんど正しい情報が国民に伝わらないのです。民主主義の社会ですから、正しい情報を皆さんが知っていないと正しい判断ができないですよ。まさに、その典型的な間違った情報を教えられて、間違った理解をして間違ったことを発信することが起きているのが消費税だと思うのです。消費税の正体を知るのは非常に大事です。

(深田)

本日はその正体について迫りたいと思います。是非よろしくお願いします。

(安藤)

スライドを元に話していきたいと思うのですけれども、まずこの消費税は消費者が負担する税ではありません。事業者が負担しています。

(深田)

私たち個人がお会計する時に払っているそのお金は直接政府には行かないのですね。

(安藤)

例えば、108円で水を買ったら、レシートに108円、その内8円が消費税と書いてあります。その8円がそのまま税務所に収められると思っている人が結構いますがそれは大間違いなのです。実はそこに書いてある8円の消費税は何の意味もない数字です。国民に、買い物をする度に消費税を払っていると思い込ませるための仕組みなのです。

(深田)

8円が直接国庫に入らないので、レシートに書いてあるのは何の意味もない数字になるのでしょうか。

(安藤)

例えば、お店屋さんから108円で水を買い、その108円の構成要素は何だと思いますか。

(深田)

水と税金でしょうか。

(安藤)

その108円の中には、そのお店の仕入れ原価、お給料、家賃、水道光熱費、固定資産税、法人税も入っていますが、それらを全部の内訳を書いていたら分かりますが、108円のうち8円の消費税は8円がそのまま消費税で納税されていませんので、なぜ消費税だけ取り立てて書くのか疑問です。

(深田)

結局、事業者が納めるのは、8円を消費者からいただいて、その8円を事業者が国庫に納めている訳ではないのですね。

(安藤)

そう勘違いしてる方も結構います。今日はその辺りをゆっくりと解説していきたいと思います。なので、この消費税は、事業者に課せられた第二法人税であると、財務省のOBであり法政大学の小黒一正教授が先日論文を書いていました。国会で誰かが財務省に聞いたら、「いや、そのようなことは言っていない」と答えたようですが、財務省では消費税をこう呼んでいるのです。消費税は赤字の事業者にも課せられる税金であり過酷なので、消費税は滞納が多いと言われています。当たり前です。赤字の人に「お前、税金払えよ」と言ったって、払えるはずがないです。元々無理な課税である上に、立場の弱い者が負担するとんでもない税金です。逆進性があるので、強きを助け、弱きを挫く「タケちゃんマン」のような税金なのです。このギャグを知らない人は知らないでしょう。

(深田)

子供の頃タケちゃんマンが好き過ぎて絶対見ていました。ビートたけしさんと明石家さんまさんとアミダばばあの回がものすごい好きだったのです。このように、強きを助け弱きを挫く、中小企業をいじめていることは分かりましたが、消費税は誰を助けているのですか。

(安藤)

大企業、輸出企業など、今も上場企業の利益は最高益でしょう。消費税率が上がれば上がるほど大企業は有利で、どんどん儲かるのです。

(深田)

その仕組みとはどうなっているのでしょうか。

(安藤)

それを今日は説明したいと思います。大体の人が、消費税について間違って理解をしています。多くの国民が消費税に対して、ファンタジーを抱いております。そのファンタジーとは、適正な経費・原価に、適正な利潤が乗せられて適正な売価が設定され、その後、適正な売価に10%の消費税が上乗せされて、適正な販売価格が設定され売り買いされるというものです。これが成り立っていたら、世の中に赤字企業は存在しません。赤字企業も存在しなければ、低賃金労働者もいない、夢のような世界です。このイメージが成り立っているのなら何の問題もない税金です。

今、中小企業のうち7割程が赤字であると言われています。赤字企業がある以上、適正な利益が乗せられていないのです。適正な利益が乗せられていないところに、10%の消費税が上乗せされているのはおかしいでしょう。そもそも、このファンタジーが成り立っておらず、嘘なのです。まず、このファンタジーから抜け出さなければなりません。このファンタジーがずっと行き渡っていて、みんな信じているから、今までインボイスでは免税事業者がいて、本当は納めるべき消費税を納めず上乗せして請求して、懐に入れているずるい奴らがいると考える方もいます。

(深田)

中小事業者からすると、赤字だから収められない状況です。

(安藤)

価格は、売りたい人が売りたい値段で決めるのではなく、市場が決めるので、つまり力関係で決まります。力の弱い人は、高い値段をつけられませんので、この値段でやってくれと言われたら、安い値段でも受け入れざるを得ないのです。今の消費税の仕組みだと、安い値段で受け入れても、そのうちの110分の10は消費税と書かなければならず、仕方なくレシートにそう書いていますが、本当は適正な利益を乗せられていない価格設定がされています。これが現実です。

(深田)

現実問題として、これまで免税事業者だった方々が、インボイス導入で今後税金を払わなければならなくなった時に、「どのように生きていけばいいのか」となりますね。「このまま廃業しようか、どうしようか」となります。周りの実態を知らない人たちが、「払わなければいけない税金をお前ら今までポケットに入れていたのだから払えよ」と思って責めても、事業者側からすると「いやいや、値上げ交渉ができないまま税金だけ上がってきたのにどうしろと言うのか」となります。

(安藤)

結局、叩き合いだから、どんどん安くしろ安くしろと要求ばかり来て、それをなんとか無理やり飲み込んできた中で、免税であれば、消費税を納める必要がないなら飲み込めたはずが、免税からインボイス登録となれば、課税事業者になるので払えませんという話になります。本当、ひどい話です。正しい理解が全然されていません。

話を進めると、消費税は間接税に区分されますが、直接税は税を負担する人と税を払う人、納める人が同じなのですが、間接税は税を負担する人と税を納める人が違います。直接税の代表選手として所得税や法人税。間接税の代表選手として消費税があります。

しかし、果たして消費税は間接税なのか検討していきたいと思います。間接税の中に入湯税があります。

(深田)

入湯税というと、お風呂に入る時に150円払うものですね。

(安藤)

法律によれば、入湯税は入湯客に課すものとあります。また、徴収は特別徴収の方法によらなければなりません。

(深田)

この特別徴収とは何でしょうか。

(安藤)

いちいちお風呂に入る時に、皆さんが役所に行って150円を払ってお風呂に行くのは面倒くさいので、お風呂行くのをやめようとなります。役所がお風呂屋さんに、「俺の代わりに150円を集めて俺のところに持ってこいよ」と命令します。代わりに150円を集める義務を事業者に課すことがが特別徴収です。役所の代わりに、徴収する義務を事業者が負うのが入湯税です。税金を払うのはお風呂に入る人、徴収するのは事業者、そして事業者が集めて役所に納めるので、これは完全に間接税です。

消費税は、「事業者が行った資産の譲渡等には消費税を課され、事業者は消費税を納める義務がある」としか書いていないのです。消費税の条文に、消費者は1回も出てこないのです。

(深田)

本当にそうですね。消費者という言葉が出てきません。「事業者の資産譲渡に対して税金が課され、事業者が消費税を納める」と書いてあるので、直接税の響きです。

(安藤)

直接税です。どう考えても、消費者が負担すると書いていないのです。一方、「入湯税はお風呂に入る人に税金を課します」と書いてあります。消費税は「事業者が行った資産の譲渡等に、消費税を消費者に負担させろ」と一言も書いていないのです。

(深田)

ではなぜ名前が消費税なのですか。

(安藤)

これが詐欺のスタートです。元々は売上税なのですが、名前を消費税とすれば消費者が負担するとして入れ易かっただけなのです。しかも、昔、サラリーマン新党が、平成元年に消費税が入った時に、「俺たちが買い物する時に払っている消費税を税務署に納めない免税事業者がいるのはおかしい」と財務省に対して訴えた人たちがいるのです。被告財務省が「事業者が納税義務者であることは明らかである」「消費者を納税義務者であると規定したものではないことは明らかである」と主張したのです。

(深田)

これらは財務省側の主張なのですね。「消費者は納税義務者であると規定したものではない」ので、消費者は関係ない事業者税です。

(安藤)

面倒くさい部分は飛ばしますが、この概念は少々難しいので、これを見ている人もよく理解してもらいたいのですけれども、「事業者が取引の相手方から収受する消費税相当額は、あくまでも当該取引において提供する物品や役務の対価の一部である」ということです。

(深田)

これは、払った消費税が物やサービスの事業者がお客様に出した物やサービスの対価の一部だと答えていますね。あなたたちの仕事の対価の一部だから、全部納めなくて良いという意味です。

(安藤)

例えば、コンビニで108円の水を買うと、レシートに8円は消費税と書いてありますので、皆さんは100円の水と8円の消費税を払ったと理解しますが、財務省はあなたは108円で水を買っただけですと言っています。別に消費税は関係ないから、あなたはこの水を108円の価値があると理解して納得して払っただけだと言っているのです。財務省は100円の水と8円の税金払っているのではないのだと主張している。この概念は、擦り込まれているせいで、理解しにくいです。

(深田)

つまり、100円の水と8円の消費税を払っているのではなく、財務省によれば、このように分かれていても、この8円はサービスの対価の一部であり、水の代金であると主張しているということですね。

(安藤)

1番騙しているところなのです。あくまでも水をその代金で買っているだけで、例えば、山頂に行くと水が200円になることもありますが、200円の代金に納得して水代を払うように、ただそれだけの話です。

財務省としては、その後、色んな資料で国民に嘘を言い続けており、例えば、消費税に関する基本的な資料では、「消費税の実質的な負担者は消費者であるが、納税義務者は事業者」とあり、これは嘘であり裁判で言っていることと違います。裁判では、消費者とは関係無いと言っているけれど、ここでは消費者が負担していると言っています。この後、国税庁の消費税の仕組みという資料の中でも、「消費者が負担し事業者が納付します」と書いてあります。

(深田)

まるで間接税のように聞こえます。騙し討ちです。政府の説明で、法律の条文に書いてあることと省庁の説明が一致しないこと、むしろ逆であることが結構あります。

(安藤)

消費税がこの最たる例であると思います。ペテンです。なぜ財務省がそういう説明をしているのか、「もっと知りたい税のこと」という本を読むと、「事業者を納税義務者として、その売上に対して課税されています」とあり、この部分は正しいのですが、次の段の「事業者に課される消費税相等額は、コストとして販売価格に織り込まれ、最終的には消費者が負担することが予定されています」とあります。誰が「予定されている」のか、法律には「予定されています」とは書かれてないにも関わらず、事業者が払うことを予定されているとあるため、勝手に財務省が予定しているだけなのです。予定は未定で決定ではないのです。義務でもないのに、勝手に財務省で理屈を作り予定して、消費者が負担していると言うべきではありません。

(深田)

本当に酷いことです。

(安藤)

大嘘の塊りです。消費税が預かり金であると皆さん誤認していますが、その誤認させる仕掛が2つあります。1つ目が、税抜き経理方式といって、事業をやっている人でなければ分かりにくいので今回は説明を省きますが、2つ目に、レシート問題です。レシートに分けて書くことで、消費者が負担していると思い込ませることです。

(深田)

確かに、レシートや領収書に税10%や8%と書かれれば、自分が税金を払ったのだと思いますよ。

(安藤)

騙しのテクニックです。

消費税の納税の計算の仕方について触れますが、消費税の納税額はこのように計算します。まず、課税売上げの110分の10に含まれる消費税を計算し、そこから課税仕入れ、つまり商品の仕入れ代など、消費税がかかっている取引の110分の10を計算し、売上にかかる消費税から仕入れにかかる消費税分を引いて納税額を計算します。上記の計算式は110分の10をかけていますから、かっこで括ります。課税売上マイナス課税仕入れに110分の10をかけても、上の式と同じ答になります。注目すべきは、このかっこの中の部分である、課税売上マイナス課税仕入れは、上のグラフを見てもらうとイメージできると思うのですが、売上から課税仕入れを引くと何が残りますか?

(深田)

利益と非課税仕入れが残ります。

(安藤)

つまり、消費税は実は利益プラス非課税仕入れに課税されている税金なのです。ヨーロッパでは付加価値税と言われています。日本では消費税と言いますが、付加価値税であり、付加価値に課税している税金なのです。

(深田)

付加価値税という名前で、日本が1950年代に、スタートを切ろうとして、国民の猛反対を受けて頓挫したあの付加価値税ですか。

(安藤)

その頃とは少々要素が違うと思うのですけど、付加価値に課税するため、工夫して良いもの作れば罰金ということです。

(深田)

GDPの成長は労働投入量、資本投入量そして全要素生産性という付加価値の部分です。この付加価値にマイナスをかけていることになります。

(安藤)

付加価値をつけたら罰金とは、とんでもないです。

(深田)

GDPを成長させようと思うと、付加価値を大きくしなければならないのに、そこにマイナスをつけているので、成長できるはずがありません。

(安藤)

とんでもない税金です。これがほとんど理解されないままです。法人税は利益だけに課税される税金ですが、消費税は利益プラス、今度インボイスが入ったからインボイスのない経費の部分に課税されるので、法人税よりも課税ベースが大きい税金なのです。だから第二法人税なのです。

(深田)

これは法人税よりも質が悪いです。赤字企業は法人税を払わなくていいですが、消費税は赤字でも払わないといけないので、中小企業いじめの税金であると考えて間違ありません。

(安藤)

このイメージで掴んでいただきたいのが、利益が0であれば、法人税はかかりませんが、消費税はかかり、赤字でも消費税は納税しなければならないので無理なのです。

(深田)

ここからが問題なのですが、今後インボイスが始まれば、今まで免税だったはずの赤字事業者は、必ずこの消費税を納めなければならなくなるので、自主廃業が今後増えてくると言われています。

今回は消費税がどれだけ弱い者いじめであるのかをお話ししていただいたのですけれども、次回でこのインボイス、さらに私たち中小零細をいかにいじめていくのかについてご解説いただきたいのでよろしくお願いします。とはいえ、今回は安藤裕先生に消費税の正体は強きを助け弱きを挫くタケちゃんマンだったということをご解説いただきました。安藤先生、ありがとうございました。

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